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新卒からCTOへ。ユーザーローカルの三上CTOが考える「CTOのあるべき姿」

今回はユーザーローカルのCTO三上さんにインタビューさせていただきました。ユーザーローカルはチャットボットやデータ解析などを主な事業としている会社です。三上さんは新卒で入社をされてからCTOに就任をしたというキャリアの持ち主です。インタビューを通じてCTOになるまでの経緯や、これからのビジョンなど様々なテーマでお話をしていただきました。

自ら直接応募!新卒でユーザーローカルに入社した理由とは?

今までのキャリアから伺わせてください。ユーザーローカルに入社される前にクックパッドで働かれていましたよね?
学生インターンで2ヶ月ほど関わっていました。食品の検索ログを分析して食品メーカーに売る「たべみる」とサービスの改善に関わっていました。大学ではHadoopの研究をやっていたのですが、これをビジネスに活かしたいと考えたんです。そのときクックパッドがHadoopを使っていままで1週間かかっても終わらなかった処理を30時間でやったというのを知って、そこが面白いと思い実際に関わらせていただきました。
ビッグデータの領域だと、テクノロジーの部分と仮説を立ててデータを抽出していく仕事があると思うのですが、どちらよりのお仕事をされていたのでしょうか?
当時はまだ学生でビジネスのことがわかっていませんでした。そのため、徐々にシステムよりの部分から入っていってだんだんと仮説の立て方などを学ばせてもらったという感じです。
その後、新卒でユーザーローカルに入られましたよね。その頃って新卒採用という枠での採用活動はやっていないような時期だったと思うのですが、なぜ応募しようと思ったのでしょうか?
募集しているかどうかよりも行きたいと思う会社があれば直接フォームから応募すればいいかなくらいに考えていました。いろいろな会社を見ていく中で、サービスをやっている会社ってサービスを提供すること自体がメインで分析はその中の一部みたいなところがあると思うんです。僕は流行るサービスをつくることや、面白いアイデアを考えることよりも、データの設計をするとか分析のシステムを整えるというところが得意だなと思っていました。その得意な領域を活かせるところはどこだろうと考えたときに、分析自体をサービスとしてやっていてその分析システムをいろいろな会社に使ってもらうという方が自分を活かせるのではないかと思い、知り合いがいたわけでもないのですが直接フォームから応募をしました。中途向けのフォームだったのですが、新卒採用していますか?って(笑)
他に比較をした会社はありましたか?
データ解析を軸にする会社は他には受けていないですね。ソーシャルゲームの会社なども受けたりもしたのですが、結局最終的には行きませんでした。既にユーザーローカルに内定は出ていたのですが、少しだけインターンで行った会社とかはあります。
ユーザーローカルに入ろうと意思決定した理由はなんですか?
ビッグデータを扱えるということに加えて、少人数でやっていたというのがあります。やっぱり大きい会社の方がデータ量は多いと思うのですが、すでに基盤があってちゃんと設計されているんですよね。そのなかでも決め手になったのは「データはあるけれどまだ基盤の設計がまだまだ自分でもできそうな余地があった」というのがあります。
それで入社したのは2012年ですよね。その頃のデータ量はどのくらいでしたか?
たしかその頃は、月間で数十億くらいの規模だったと思います。当時はRDBMSをメインで使っていて、Hadoopとかはまだ導入されていませんでした。
それから、Hadoopへの移行を実施していくわけですね。どれくらいの期間をかけて基盤システムを以降していきましたか?
アクセス解析のサービスは結果を瞬時に表示しないといけないので、Hadoopだけというわけにもいかず、バックエンドでログはHadoopで持ちつつメインはRDBMSに集計したデータを乗せていくという仕組みにしました。
入社をして半年くらいしてから、前のバージョンのアクセス解析のシステムの基盤を入れ替えるということになりました。前のバージョンのシステムの延長線上でやっていくのは難しいのでシステムの入れ替えを実施しました。具体的には前段にShadow Proxyという両方のサーバにアクセスするような仕組みをいれて、旧バージョンと新バージョンの両方にデータを流し込みつつ、新バージョンのほうで同じようなデータを返せるような仕組みを作りましたね。だいたい半年くらいかけて本格リリースしました。
前のバージョンだとスマートフォンのヒートマップなどに対応をしていなかったので、そのあたりの対応なども含まれています。これが入社してから最初の大きな仕事でした。
この頃は他にエンジニアが何人くらいいた時期ですか?
後に社員になるアルバイトの学生と二人でほぼ作り上げました。

エンジニアとのズレを埋めるのがマネージメント

現在は何人くらいの規模になっていますか?
会社自体は40名ほどで、エンジニアは10名です。
エンジニアは、それぞれフロントが得意な人・バックエンドが得意な人・データ分析が得意な研究開発よりな人の3タイプいます。人数の比率はだいたい同じくらいですね。
私自身はバックエンドよりの部分を担当しています。得意な領域としては、機械学習とかのアルゴリズムの部分よりも、データを処理するときの最適化の部分をやっています。どんなアルゴリズムでも早く動くように設計するという領域が得意分野です。
CTOになったときのチーム規模はどれくらいでしたか?また、CTOという職種への役割の定義などはありましたか?
エンジニアが5名くらいの時期です。前任のCTOから引き継いだというわけではなく、しばらくCTO不在の時期があったんです。あるときに代表の伊藤からCTOにならないかと言われたのがきっかけでCTOになりました。CTOになるにあたって、定義というようなものはありませんでした。
ご自身はCTOになってこういうことをやりたい、みたいなものはありましたか?
なったときは特にありませんでしたが、採用をして人も増えていくにあたって、教育もしていかないといけないとなり、自分がプレイヤーとしてやるだけでなくて組織と全体を見なきゃいけないんだなという意識がうまれてきました。
実際にマネージメントって言葉が独り歩きしていて、マネージメントって本来はいろいろな要素が含まれていると思うんですよね。三上さんご自身が考えているマネージメントというのはどういったものなのでしょうか?
手を動かさずに指示だけするというマネージメントはあまりイメージが沸かないです。ただ、エンジニアがそれぞれ頑張っていてもマネージメントがないと会社が目指したい方向性とズレてきてしまうことがあります。そういったズレを出来る限りなくしていく、というのがマネージメントなのかとは思っています。
どういうような仕組みやマネージメントの手法でズレがでないようにしているのでしょうか?
今は10人くらいなので、周囲が何をやっているか見えているのでまだ大丈夫かなというところです。1on1もやっていますが、うちは月1回で実施するくらいのペースです。もっと多くの頻度でやっている会社もありますが、今のところ日々近くで何やっているか把握できているのでそのくらいでいいかなと思っています。もっと大きくなってきたら階層化したり、1on1の頻度を増やすとかはあるかもしれませんね。
これから組織を拡大していくなかでマネージメント論とかをさらに意識されていくと思います。三上さんのイメージされている理想のマネージャー像だったりCTO像というのはありますか?
軽くしか話したことはありませんが、、藤本さん(現在のグリーCTO)は技術力も高いですし、何よりも他のグリーのエンジニアからの信頼感がすごくあるんですよね。私の思う理想のCTO像かなと思っています。
CTOになった後マネージメントについて本を読んで勉強したり、先輩のCTOの方に相談したりして何をするべきかを色々考えました。自分の中の結論としては、採用や評価、マネージメントをより上手くするためにも、自分の技術力をより高めていくことが今の会社の中においては重要だと思いました。
現在の組織で悩んでいることはありますか?
採用が一番難しいですね。エンジニアや学生に向けたPRがうまくできていないと思います。
中途採用に関してですが、リーチできていないということでしょうか。それともリーチはしているけど採用まで至らないということでしょうか。
リーチできていないという感覚はあります。会社に採用の専任がいないのでPRに時間を使えていないというのはあります。
エンジニアの採用だったりを専任でやるようなポジションのヒトを採用してきたりとかは考えていますか?
正直まだわからないです。まだ10名くらいの規模なのでそこまでイメージできてはいないです。将来的にそういう人材をやとって加速をするという可能性はあるとは思います。専任ではありませんが、エンジニアの中で採用もやる人という担当を作っています。
リソースとして浮いちゃいそうな人材は極力省いた筋肉質な組織というイメージなのですが、あっていますか?
そうですね。採用や広報って専任だと忙しい時は忙しいけど、仕事が少ない時もある感じがあるので。

ユーザーローカルとして向かう先

今年上場されましたが、次の会社としての大きなマイルストーンがあるとしたら教えてください
上場したからというのもあるのですが、常に成長していかなければならないので、ここを達成したら終わりというのはないです。いつまでに社員数○○名だったり、売上いくらだったりという目標値を立てている会社は多いと思いますが、社長はそういう数値を表立って掲げるタイプではないです。
取り組みとしてはよくても時代とマッチせず流行らなかったりとか、そこまですごいものじゃなくても時代にあっていてあたったりってありますよね。なのでマイルストーンを達成できるかは努力ではどうにもならないタイミングはあると思います。もちろんユーザーにあったものを作るのですが、結局うまくいくかどうかってエンジニア自身の技術力だけではないですよね。
とはいえ、時代に合ったものを作っているとは思いますよ。最初はアクセス解析からスタートして、Facebookが流行ったタイミングでソーシャルメディアの分析サービスをつくりました。今はAIというトレンドがあるので、ChatBotの製品を出しています。その時代によって変わっていける柔軟さとそのタイミングで製品を出していけるスピード感のある会社だと思っています。
実際VALUのランキングだったりかなりトレンドに乗ったものもやってますよね。ああいったものはやっぱりエンジニア発信で作っているものなんですか?
ああいったプロダクトは社長が言い出すことが多いです。基本的に新しいインターネットサービスが好きなので、とりあえずデータをとってみてどうなるかというのを追っていたりします。
VALUのランキングとかはかなり早い段階でリリースされていたと思いますが、社内的にもああいったサービスを作れるような基盤を既に用意しているということなのでしょうか?
例えばSNSでいうとフォロー数・フォロワー数という概念そのものはSNSによってもそこまで大きく変わるわけではないので、その枠組みに乗せるという感じです。社内的にはSNSごとに近いインターフェイスのAPIを用意していたりします。
SNSのデータに関してはElasticSearchに乗せていたりします。結局Hadoopでやっても最終的には検索エンジンが必要になってくるので。取り出すためのインターフェイスとして使っていたりします。
実際に製品化するようなプロダクトの場合も社長の発想からでしょうか?
社長からが多いですが、エンジニアがやりたいと言えばやらせてくれる会社ですね。うちはディレクターという立場の人がいないので、発想自体は社長からでも作る機能から画面の細部の設計までエンジニアが決めていたいりします。
そこのエンジニアと営業とのコミュニケーションがうまくいかないこととかってありますか?
社長がエンジニアでかつビジネスもわかっている人間なので、社長を含めて話してプロダクトをつくっています。実際にユーザーに使ってもらってフィードバックをうけるという流れになっているので、プロダクトやユーザーがいる状態でのコミュニケーションなので、意見が分かれることが少ないですね。

立場にあぐらをかかず、勉強し続けていたい

三上さんご自身の今後のビジョンについて伺わせてください。今後、どういったキャリアを歩んでいきたいと考えていますか?
時々、今度は自分で会社を立ち上げたりしないんですか?とか言われるんですが、社長とかは面倒くさいのでやりたくないです(笑)。今は人数が増えて以前より開発スピードも上がって同時に色んなことを進めれるようになって楽しいですし、より人数を増やして成長させていく経験を積みたいとおもっています。
もともと自分がデータの設計が得意なのでこういった会社に入ったので、CTOとか採用とかマネージメントをやるイメージはなかったんです。結果的にCTOという立場になり、自分がやりたいことより会社にとって何が必要かなというのを考えてやっていかないといけないと感じてはいます。
それって自分のやりたいことを犠牲にしているかもしれませんが、それによって良いサービスを速く出してユーザーに価値を届けられている感があるので、すごくやりがいがありますね。
やっぱりプロダクトづくりの現場には関わっていたいという思いがあるということでしょうか?完全に現場から引いて、マネジメントに専念するという選択肢もあると思うのですが。
マネージメントに専念した方が会社にとって良い可能性もあるかもしれませんが、実際マネージメントってそこまで時間使うのかな?というのが今の規模のチームを見ていて思うことです。もっとチームが大きくなったら別だとは思うのですが、1日のうちマネジメントだけやっているという姿は想像がつかないんです。そういったこともあり、エンジニアリングもやるのが良いんじゃないかなと思っています。
あとこれからは、Deep Learning系の勉強していきたいです。MapReduceやBigTableの論文を書いていたJeff Deanは最近はDeep Learning系の論文とかも書いているんですよね。彼が天才というのはあると思うのですが、自分自身をカテゴライズせずに、新しい領域を勉強するマインドはすごいと思いますし、自分もそうなりたいと思っています。
新しい領域の勉強という軸でいうと、技術領域で広げていくというのもありますし、例えばファイナンスだったり別軸の知識を広げていくという考えもあるとおもいます。そのあたりもやっぱり技術領域を中心に考えていますか?
そうですね。さきほど社長はあまりやりたくないと言いましたが、ユーザーやプロダクトに関わることであればマネージメントなど技術以外のことをやるのもいいと思うんです。でも自分の人生も限られていますし、ファイナンスのことに時間を使うよりはプロダクトに集中しているほうが楽しいんですよね。
ピープルマネージメントに関しても、やりたいというよりも上手く組織を動かして良いプロダクトを作るために必要だからやっています。当然逃げるつもりはなく、今の組織のなかで自分がやったほうが良ければ自分がやりますし、ほかに自分よりもできる人がいれば譲るつもりではあります。
最後に、三上さんご自身がCTOとしてこうありたい!というのがあれば教えてください。
勉強し続ける、ということでしょうか。一度その立場になったからといって、そのままあぐらをかいていてはダメだと思っています。特に技術に関して言うと学生の頃に勉強した分で食っているなという感覚が時々生まれてしまって、やっぱりそれだとダメだと思うんです。やっぱり勉強はし続けていきたいですね。
ありがとうございました!
2018/02/21 11:00
和田 修一 / wadap

和田 修一 / wadap

Tech Leadersの編集長。エンジニアです。
CTOのインタビューをしています。

http://wadap.hatenablog.com/

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